第2897・2898号 令和6年9月1・8日

人手不足をテーマに意見交換
出席者が「学びあう場」に
全機工連 2024年度通常総会を開催


 全日本機械工具商連合会(全機工連、会長=坂井俊司氏・NalTO社長)は、6月27日午後1時30分より東京都港区のアリスアクアガーデン品川にて2024年度通常総会を開いた。今年度の事業計画では、引き続き「DXへの取組」を統一テーマとし、DX推進に取り組むことなどが承認された。同会では総会を出席者が「学びあう場」と位置づけ、その一環として今回は業界の課題(採用・人手不足)をテーマにしたフリー討議や、慶應義塾大学商学部准教授の岩尾俊兵氏を講師に迎え講演会が行われた。
 はじめに司会者より、理事総数45名中45名出席(本人出席27名、委任状出席18名)で総会が成立すると報告された。総会にはオブザーバー、報道関係者を含めて総勢56名が出席した。
 開会にあたり挨拶に臨んだ坂井会長は、6月中旬に訪れたタイの現況に触れ「どうしても日本で作らないといけないものは減ってきていると感じる。訪問した日系自動車メーカーも苦戦している」とし、世界各国で消費に対するマインドが弱いのではとの印象を語った。「世の中が色々変わってきているので、やり方を変えていかないといけない。こうした会のあり方も同様で、今回は少し趣向を変えようと常任理事会で議論して、講演会を取り入れた。皆さんの意見を伺いながら、新しい試みをしていきたい」と話した。
 会則により坂井会長が議長を務めて各議案の審議を行い、2023年度事業報告並びに決算報告、2024年度事業計画並びに予算案はいずれも原案通り承認された。
 事業報告によると、2023年度は、新型コロナウイルス感染症の位置づけが2類相当から5類になったことを受け、全機工連の構成団体は4年ぶりに各種活動を再開した。
 全機工連全体でも、8月24日に「全国機械工具商青年部総会」(OMJC主催、全機工連後援)を開催。全機工連主催の「全国若手交流会」から起算すると4年半ぶりの開催となった。また、10月17日には「第44回全国大会(愛知大会)」を開催した。さらに、機工メイト委員会も2018年11月以来5年ぶりに郡山機工会が担当して開催された。
 人手不足に関し、特に同業界では営業部門の不足が深刻化しており、2023年10月に行った経営者アンケートでは、営業部門の人手不足解消のために実施した施策について「賃金条件の改善」が最も多く、次いで「シニア世代の再雇用(定年年齢の引き上げ)」、「勤務時間の柔軟化」となっていると報告された。
 2024年度事業計画では、今年度は大きなイベントがなく、定例的に開催する諸会議について(1)広報委員会…2024年10月9日(水)15時~17時(東京組合会議室)(2)第99回機工メイト推進委員会…11月(後半を予定、会場未定)(3)常任理事会…2025年2月12日(水)(東京組合会議室)(4)通常総会…6月11日(水)(会場未定)とした。
 全機工連としての統一テーマは、引き続き「DXへの取組」とする。インボイス制度、電帳法など外部との関係で対応が迫られており、外向きのDX推進に取り組む。また、全国の会員が参加できるWebセミナーをブロードリーフと共催して開催する。その他、ホームぺージリニューアルのための費用を計上する。
 「採用・人手不足」をテーマにしたフリー討議では、冒頭、坂井会長が、人手不足の原因には①高齢化と少子化②産業構造の変化③地方と都市の格差④労働環境の問題があるとした上で「これらの要因が絡み、日本の労働力不足の背景を形成しているのではないかと感じる。本日は、各地域における採用・人手不足対応についての報告をいただき、皆さんと意見交換をしたい」と挨拶。関東、中部、関西の3地区から現状や対策が報告され、これを基に活発な意見交換が行われた。
 総会終了後は新企画として講演会が開催され、慶應義塾大学商学部准教授の岩尾俊兵氏が「金の論理、人の論理」~大転換の時代を生き抜く~と題して講演。出席者は熱心に聴講していた。
 この後、懇親会で和やかに情報交換などが行われ、盛会のうちに終了した。

2024年7月分工作機械受注総額
前年同月比8.4%増の1239億円
日工会 外需主導で高水準が続く


 日本工作機械工業会(日工会、会長=稲葉善治氏・ファナック会長)が8月22日発表した2024年7月分の工作機械受注額(確報値)は、総額が前年同月比8・4%増の1239億42百万円となり、3か月連続して前年を上回った。前月比は7・4%減で2か月ぶりの1300億円割れとなったが、5か月連続の1200億円超えで、外需を中心に回復傾向が見られる。
 内需は、前年同月比9・3%減の357億3百万円となり、23か月連続で前年を下回った。6月の反動や季節要因もあり前月比は12・5%減。2か月ぶりの400億円割れとなった。自動車をはじめ、主要業種を中心に依然¥文字(U+2F12)強さに¥文字(U+2F4B)ける状況が継続。
 外需は、前年同月比17・7%増の882億39百万円となり、3か月連続で前年を上回った。前月比は5・1%減となったが、3か月連続の850億円超えと高水準が持続。アジアは中国を中心に高水準持続、北米はアメリカ、メキシコで大型受注があり前月比増加、欧州は夏季休暇もあり減少した。

2024年6月の産業機械受注高
5471億5000万円前年同月比15.8%増
日本産業機械工業会


 日本産業機械工業会(会長=金花芳則氏・川崎重工業会長)が8月20日発表した2024年6月の産業機械受注高は、前年同月比15・8%増の5471億5000万円で、3か月連続して前年を上回った。
 内需は、前年同月比5・9%増の3425億9300万円で、このうち製造業向けが25・4%減、非製造業向けが6・8%増、官公需向けが62・6%増、代理店向けが1・5%減だった。
 内需で増加した機種は、ポンプ、変速機、その他機械の3機種。減少した機種は、ボイラ・原動機、鉱山機械、化学機械、タンク、プラスチック加工機械、圧縮機、送風機、運搬機械、金属加工機械の9機種だった。
 外需は、前年同月比37・3%増の2045億5700万円。プラントは3件で、20・0%減の104億6500万円だった。
 外需で増加した機種は、鉱山機械、化学機械、変速機、その他機械の4機種。減少した機種は、ボイラ・原動機、タンク、プラスチック加工機械、ポンプ、圧縮機、送風機、運搬機械、金属加工機械の8機種だった。

工場見学、青年部との意見交換会など
今年度の行事日程を協議
愛鋲協 令和6年度第1回理事会


 愛知鋲螺商協同組合(愛鋲協、理事長=大野正博氏・中部製作所社長)は、6月26日午後6時30分より名古屋駅前の安保ホールにて令和6年度第1回理事会を開催した。理事6名が出席して、今年度の行事日程などを協議した。
 理事会の日程については、第2回を7月30日午後6時より名古屋ガーデンパレス1階のホウ・エヴァーにて開催し、理事会後に青年部役員との意見交換会を行うとした。第3回理事会は9月30日を予定。
 7月23日の「オーエスジーNEO新城工場並びに八名工場見学」に関して、セミナー担当の鈴木浩久理事(八幡ねじ専務)より、開催概要や定員、集合場所等が説明された。
 青年部については、担当理事の鈴木憲一副理事長(エフシーテック社長)から活動予定が報告された。6月28日に「ねじのスーパー大和」の工場見学を予定。7月22日に例会、同30日の理事会後の意見交換会には土方一憲部長(金城螺子製作所社長)ほか役員が参加する。また、東京・大阪・神奈川の青年部が4年に一度開いている交流会に、今年初めて愛知も参加する。今回は11月16~17日に福岡で開催される。現地集合で16日午後から講演会、懇親会などが行われる。参加費は青年部で負担するが、交通費・宿泊費等に関しては各自の負担とする。
 新年会は2025年1月24日に「名古屋コーチン・旬菜 一鳳本店」(名古屋市熱田区)で開催することとし、令和7年度通常総会の日程については5月23日を第一候補とする。
 日本ねじ商業協同組合連合会の第3回常任理事会が6月4日、新横浜グレイスホテル(神奈川県)で開かれ、出席した小倉正嗣副理事長(小倉商店社長)、鈴木副理事長より報告があった。
 小倉副理事長は、常任理事会の前に行われたねじ商工連盟の商工委員会において、今後の委員会の進め方を検討する中で人の採用の現状などが報告されたほか、手形サイトの短縮、JIS規格の改正について協議したことを報告。
 鈴木副理事長からは、常任理事会の主な内容として、▽ねじ商連第49期通常総会は7月25日に名鉄グランドホテル(名古屋市中村区)で開催し、愛鋲協から4名が参加する▽来年開催の第50期通常総会は、2025年7月25日に神鋲協が担当して横浜で行う▽令和6年度第1回常任理事会は11月13日の開催を予定し、開始時刻および会場は今後調整する▽人手不足対応としての外国人雇用の件は継続審議とした-と報告された。

田口副会長が会長代理を兼任
岐阜機工会 第12回通常総会を開催


 岐阜機工会(会長=渡辺宗晃氏、三信商会社長)は7月2日、ホテルリソル岐阜において、第12回通常総会を開催した。
 議案審議は、田口健一副会長(タグチ社長)が議長に就き、2023年度事業報告・収支決算報告、24年度事業計画案・収支予算案いずれも承認された。
 また、第5号議案では役員変更の件が上程され、これを審議。役員改選は2年に一度で前年度新役員体制が決まったが、渡辺会長から自己都合による辞任の申し出があり、先の幹事会で話し合った結果として、来年度の改選期まで田口副会長が会長代理を兼任する案が出され、総会の席上承認された。
 総会の司会進行は徳永和也総務幹事(徳光社長)が行い、冒頭渡辺会長は辞任に至る経過を説明。引き続き幹事として、岐阜機工会が掲げる『会員増強による活動の拡大』に努め、貢献していきたいとした。
 なお、その他の件では、新入会員としてノムラ(岐阜県大垣市南頬町、代表者=野村正壽氏)が紹介され、自己紹介の後承認された。
 議案審議の後は、来賓の岐阜県中小企業団体中央会企画振興部大島達也副部長から祝辞があり、また、中小企業を対象とした省力化投資補助金について説明を行い、積極的に支援して行く姿勢を示し利用を促した。
 以上で総会を閉会し懇親会に移り、田口会長代理兼副会長が、活動への新たな取り組みと協力を請い乾杯の発声を行った。
 懇親が深まる中、日東工器中日本支社永山浩平支社長の中締めでお開きとなった。

桑名金属工業の
全株式を取得
岡谷鋼機


 岡谷鋼機(社長=岡谷健広氏、本社=名古屋市中区)は8月1日、桑名金属工業の全株式を取得したと発表した。同社は本年3月21日及び6月28日に、プロテリアルから配管機器事業を譲り受けること、及び桑名金属工業を新設し当該事業を承継することを公表している。
 桑名金属工業は岡谷鋼機の100%子会社として8月1日、事業を開始した。
 桑名金属工業の源流は1910年に設立された戸畑鋳物にまで遡る。戸畑鋳物が第一号製品を世に送り出す時に「より強靭に、より滑らかに、より美しい曲線に」との願いを込めて鋳出しされたのが「ひょうたん」印。以来、日立製作所との合併や日立金属工業としての分離独立、社名変更などを経ながらも、100年以上に亘って伝統と信頼の証の下で鋳物製品を作り続け、現在では継手やバルブの他、半導体製造装置用精密流体制御機器(ファインフロー製品)、冷水供給機器(チルドタワー)などの製造販売を手掛けている。
 新たにスタートした桑名金属工業は、伝統を大切にしつつ、顧客のニーズや市場の変化に合わせ、優れた技術、製品開発、ものつくりを通じて社会に貢献していく。
 【桑名金属工業の概要】
 ●本社所在地=三重県桑名市大福2番地
 ●代表者=河村元志氏(岡谷鋼機取締役)
 ●事業内容=[継手バルブ事業]鋳物・ステンレス継手、フレキ管・継手、ガス用ポリエチレン管・継手、各種バルブ、膨張タンク、チルドタワーの開発・製造・販売[ファインフロー事業]半導体製造装置用精密流体制御機器、気化器の開発・製造・販売
 ●グループ会社=桑名金属ファインテック(三重県桑名市)、桑名金属儀器(中国広東省深¥文字(U+5733)市)、Fine Flow Service, Ltd.(米国カリフォルニア州サンノゼ市)
 ●連結従業員数=997名

ロボットテクノロジージャパン2024
活況呈し成功裏に終了
前回展を超える4万6405人が来場


 7月4~6日に愛知県常滑市のアイチ・スカイ・エキスポ(愛知県国際展示場)で開催された、産業用ロボットと自動化システムの専門展「ロボットテクノロジージャパン2024(RTJ2024)」は、3日間で当初目標の4万5千人を上回る4万6405人が来場し、盛況のうちに閉幕した。
 2回目となる同展には244社・団体が1320小間に出展し、開催規模は2年前の前回展の約2割増に拡大した。産業用ロボットのみでなく、要素部品、周辺機器に加えて、無人搬送車や自律走行型搬送ロボット、ロボットが組み込まれた各種機械・設備などが展示され、製造現場や物流拠点の自動化・省力化に関する課題解決に向けての提案が行われた。
 各ブースではロボットの導入や追加導入を検討するユーザーとの具体的なやりとりも多く見られ、出展各社は手応えを感じているようだった。
 また、システムインテグレータが集まる「SIerゾーン」では、より現場に近い実践的なロボットの使い方が展示され、注目を集めた。その他、主催者企画セミナーや産業用ロボット体験ゾーン、出展各社のワークショップなどを通じて、来場者に有益な情報提供が行われた。来場者の滞留時間も長く会場は熱気に満ちていた。
 展示会後のアンケート結果によると、来場者の展示会満足度は「非常に満足」と「満足」を合わせて71・9%。出展者からはPR・販売促進効果の実感について「非常に効果があった」「効果があった」との回答が合わせて83・3%に上り、両者ともに概ね好評だった。
 初日は午前9時30分より会場内特設ステージで開会式が行われ、主催者を代表してニュースダイジェスト社の樋口八郎社長が「生産現場の自動化・省力化等の課題が話題になっているが、それらを解決する答えやヒントが数多く会場内に展示されていると思う。FA業界はここ数年、調整局面と言われてやや厳しい状況が続いているが、ようやく半導体産業等を軸に回復への足取りが見え始めた。本日からの3日間、勢いをつけるイベントになるよう頑張りたい」と挨拶。
 来賓挨拶では、古本伸一郎愛知県副知事が「本日はロボットテクノロジージャパン2024が盛大に開催されることを心よりお喜び申し上げる。愛知県は国内有数のロボット製造業の集積地であるが、中小企業、小規模事業者の皆様においては未だ、アンケートによると8割がロボットに触れたことがない、ティーチングしたことがない、という生の声を頂いている。本県としてはロボットを『作る』に加えて、『使う』ことにより素晴らしさを皆様に感じて頂きたい。今回の展示会は、またとない機会だと承知している」と祝辞で述べた。
 来賓の石曽根智昭経済産業省製造産業局産業機械課ロボット政策室長は「昨今、国内ではあらゆる産業で人手不足が深刻化している。加えて、DX、カーボンニュートラルへの対応が求められるなど、製造業を中心に企業を取り巻く環境がより複雑になってきている。こうした中で、わが国の製造業が世界に誇れる技術力、競争力を維持し日本の産業を牽引し続けるために、間違いなく中心となる技術がロボットだと考えている。経済産業省としても、中小企業でも容易に導入が可能な製造業のDXにつながるようなロボットシステムのハード、ソフト両面の開発を支援していくと共に、地方自治体とも連携してロボット導入推進ネットワークの構築を進めていきたい」と話した。
 協賛団体を代表して挨拶に立った太田裕之日本ロボット工業会副会長(ヤマハ発動機上席執行役員)は「新たな付加価値創造に向けてロボット技術に対する期待は高まっている。今回の展示会の規模について主催者から前回の2割増との話があったが、出展者各位の需要拡大に向けた並々ならぬ思いと同時に、日本のモノづくりを牽引する中部地域、愛知県のパワーの賜物であると感じている。本展示会を更なる業界発展のジャンプ台として生かしていきたい」と期待。
 出展者を代表して登壇した山口賢治ファナック社長兼CEOは「工場の自動化はロボットメーカーだけではできない。要素部品、周辺機器、AGV、測定機器、それらをまとめるシステムインテグレータなど幅広い企業の展開が必要だが、この場にすべて集結されている。工作機械メーカーの出展もあり、機械加工における最先端のシステムがご覧いただける。この展示会を契機にロボット業界を一層盛り上げていきたい」と意気込みを語った。
 展示会を共催する愛知県機械工具商業協同組合の髙田研至副理事長(井高社長)が紹介され、代表者によるテープカットで開幕した。

「つなぐ複合専門商社」が最先端技術集結
カーボンニュートラルフェア2024
ユアサ商事 そして、中部グランドフェアへ


 ユアサ商事中部支社(中部ブロック長兼中部支社長=堂跡陽一氏、所在地=名古屋市名東区)が主催する『カーボンニュートラルフェア2024』が、今年も7月18日に名古屋市千種区の吹上ホールで開催された。当日は、同会場内で「建設機械新商品内覧会」も同時開催されており、両展示会合わせておよそ60社が出展。当日の来場者数は830名を数えた。
 開会前、堂跡支社長は「今回、このカーボンニュートラルフェアならびに建機の内覧会につきまして、昨年同様、同時開催させていただいております。本展示会は『中部グランドフェア』の前哨戦と位置づけておりますが、ご出展いただいている皆さま方におかれましても、本日一日お時間を割いていただいているわけですから、一人でも多くのお客さまを取り込んでいただいて、ご成約につなげていただけるよう我々も全力を尽くして頑張らせていただきます」と出展各社にエールを送っていた。
 『カーボンニュートラルフェア2024』ならびに「建設機械新商品内覧会」は、10時の開場前にはすでに来場者が今か今かと待ちわびていた。両会場でセミナーが開催されたが、開場から1時間後に開催された『カーボンニュートラルセミナー ~カーボンニュートラル達成に向けた最新動向~』は、ほとんどの席が聴講者で埋まり、その注目の高さが伺えた。
 分野別の省エネ・生産性向上商材を紹介していた「商品展示ご提案ゾーン」、商品実機を実演・体感展示していた「実演展示ご提案ゾーン」など、セミナー会場以外ももちろん来場者で賑わいを見せていて、来場者は省エネ・カーボンニュートラル課題解決の糸口を見つけ出したことだろう。

独創工具の開発と付加価値提案を強化
金子善昭新社長が所信を表明
『MOLDINO VISION 2024』


 MOLDINO(社長=金子善昭氏、本社=東京都墨田区)は6月24日、「MOLDINO VISION 2024」を販売店・代理店に向けてオンデマンド配信し、業績報告、経営戦略、業界トレンドなどについて説明した。
 今年4月に社長に就任した金子社長が「前職の三菱マテリアルでは一貫して切削工具事業に携わり、国内外における販売活動に取り組んできた。引き続き切削工具業界で皆様方と共にMOLDINO商品の販売に携われることはこの上なき喜びであり、気持ちを新たに引き締めて頑張ってまいりたい」と挨拶。
 配信終盤に行われた所信表明では、日本の製造業が直面している国際競争力の低下、原材料高騰による影響、カーボンニュートラルへの対応、少子高齢化による人手不足などの課題に取り組んでいく必要があるとし、「当社は素材から開発・生産・検査まで自社の中で完結できる一貫した生産体制を組んでいるメーカーであり、これが当社の強みでもある。地道に要求度の高い金型加工や難削材加工にも対応できる商品開発、ソリューション提案を展開して、数多くの差別化された独創工具を提供してきた。『開発技術のMOLDINO』というブランドイメージの浸透をこれから図っていく。中期経営計画に掲げた、顧客にとことん寄り添った独創工具の開発と付加価値提案の強化に注力し、経済的な価値だけではなく、社会的な価値の向上も目指したい。これが所謂、加工イノベーションの実現だと考えている」と抱負を語った。
 後藤理営業本部長からは、業績報告並びに営業本部方針の説明が行われた。
 受注業績については、コロナ禍前の2019年を100として、2023年度は国内で約20%減少、海外ではヨーロッパ、アメリカを中心に約20%増加し、全体で101・5となった。コロナ禍で大きく落ち込んだ2020年度から回復に向かうと期待したが、2022年度をピークに足元厳しい状況で、2023年度は前年比94%という結果だった。
 個別のシリーズで特に際立つ伸長を見せた3アイテムを挙げて「我々独自のマニアックな商品で、厳しい環境だが確実に評価を得ていると感じる」と同氏。その中の一つ、EHHシリーズはソリッド版高送り工具で、圧倒的なスピードと長寿命の実現、小径サイズの追加ラインナップにより、同社が提供する「PRODUCTION50(加工半減)」を代表する工具になっていると紹介した。「身近で素材革命を実感している。更なる難削加工への取り組みを強化し、益々高まる生産現場での顧客加工技術の難題に、MOLDINOならではのソリューションを今後も提供していく」との方針を示した。
 小櫻一孝国内営業部長は、「金型加工で培った知見を金型だけにとどまらず幅広い分野に展開して、引き続き皆様の役に立ちたい」と述べ、超硬ドリルで特に拡販に注力している炭素鋼・合金鋼用に最適化したNSBSを紹介。折れにくい・曲がりにくい・長寿命の特長を備え、受注生産品だが初回品は短納期対応も可能とし、荒加工で困っている顧客にいち早く届けたい考え。また、工場見学及び加工実演会への参加も呼び掛けた。
 木野晴喜ソリューション営業部長は、市場のトレンドを踏まえて開発を進めてきた、2024年発売の新商品を紹介した。①高硬度焼入れ鋼をターゲットにしたEHHRE-miniは、燃料電池用金型などの精密プレス金型で高能率、長寿命を実現する。②深彫り加工で干渉を気にしないEPDBPE-ATHフリーネックタイプ。自動車産業における大物ダイキャストの増加を見越し、新たにフリーネックタイプの工具を追加した。③肉盛り材を安定して加工できるASB Dブレーカータイプ。
 また、11月に開催されるJIMTOF2024に向け「更なる難削材加工に向けて、一層進化した工具を披露できるように努めていく」と新商品発売に意欲をみせた。

志摩観光ホテル「ザ クラシック」で
シンフォニアテクノロジー工場見学も
二村機器 第35回ワシ会総会を開催


 イーグルスターブランドの二村機器(社長=二村忠宏氏、本社=名古屋市中村区)は5月14~15日、同社の販売代理店で組織する「ワシ会」(会長=森田乾嗣氏・モリタ社長)の第35回総会を志摩観光ホテル「ザ クラシック」(三重県志摩市阿児町)で開催した。
 14日は、総会会場に入る前にシンフォニアテクノロジーの伊勢製作所(三重県伊勢市竹ヶ鼻町)を訪問。工場の概要説明を聞いた後、電磁ブレーキ量産工場(第5工場)でSBR組立ラインを見学した。
 志摩観光ホテルに到着すると参加者は、伊勢志摩サミットの開催を記念したギャラリー「ザ クラブ」を見学し、午後3時50分より総会に臨んだ。
 総会では冒頭、森田会長が「我々の携わる工作機械業界の足元は、厳しい状況が続いている。材料や製品の値上げに歯止めがかからず、次世代半導体装置受注の動きも遅く、円安もどちらかというとマイナスの影響が大きく出ている。それでも工作機械業界は、現在のところ、受注目標1兆5千億円の水準はぶれず、主力ユーザーの自動車生産は伸び続け、BEVを見据えた設備投資意欲は衰えを知らない。このことから景気は2025年度に向けて良くなるだろうと推測している。100年に一度の大変革期と言われている自動車産業で、人手不足問題や物流の2024年問題、コンプライアンスの問題など、大きく変化していく中に我々のビジネスチャンスはあると思っている。二村機器さんには、長年培われた技術力があり、また、国内にとどまらず海外へ進出しようとする意欲と新しいものにチャレンジする二村忠宏社長の熱意がある。そんな中で我々代理店がやっていくことは、ユーザーの変化を敏感に察知し、色々な情報をいち早くメーカーの二村機器さんにバックする。また二村機器さんの新しい取り組みを一緒になって動きレスポンスよい対応をする。これに尽きると思う。ワシ会会員の総力を挙げて現状を打破し、新しい未来に向けて共に歩んでいきたい」と挨拶。
 続いて挨拶に立った二村社長は、総会出席とワシ印ローリングセンター販売に向けた日頃の尽力に感謝した後、円安による原材料の高騰や内燃機関の整理統合が進められる中「弊社の主力事業である円筒形の切削・研削加工領域の販売低迷が続いている」との認識を示し、近年の活動について「EV、電気自動車の新規受注はもとより、航空宇宙産業、半導体、ロボット、搬送装置など他のあらゆる分野での駆動装置関連の受注を獲得していくなど、ワシ印製品の領域拡大に努めている。また、地産地消が海外市場でも成熟しつつあり、海外での販売展開もタイ国をはじめ、他国でも精力的に展開を進めているところだ。本年は米国、トルコでの展示会出展をとおして、現況認識と拡販の可能性について調査をしていく」と説明。令和8年の創業80周年に向けて「これまで以上に製品に磨きをかけ、ユーザー様の『あったらいいな』を形にしていくべく研鑽を積み重ねていく」との決意を語り、引き続き会員の理解と協力を求めた。
 滞りなく議事を終え、総会終了後に開かれた懇話会では和やかな情報交換が行われた。
 翌日は近鉄賢島カンツリークラブ(三重県志摩市阿児町)にて親睦ゴルフコンペが4組16名で開催され、安藤義和氏(安藤専務)がN72・2、H10・8で優勝した。

交流図る絶好の機会
第27回タンガロイビアパーティー
中部タンガロイ特約店会 ビンゴ等で大盛り上がり


 毎年恒例となっている中部タンガロイ特約店会主催『第27回中部タンガロイ特約店会ビアパーティー』が7月19日、名古屋市中区栄の名古屋クレストンホテルで開催された。本会は、タンガロイ中部支店と特約店会会員各社の営業マンらが交流し、コミュニケーションを図る絶好の機会として毎年この時期に開催されており、この日集まったおよそ80名の特約店会会員社員らは、豪華景品が当たるビンゴゲームやじゃんけん大会などでも盛り上がっていた。
 開会にあたり、はじめに和田健二タンガロイ営業本部中部支店支店長が登壇。「本日は、日頃のうっぷんを晴らす意味でも、たくさん呑んで盛り上がっていただこうという会でございます。ビンゴゲームなどの楽しい企画や美味しい料理を用意しておりますので、気軽に、おおいに楽しんでいただければと思っております」と挨拶した。
 続いて、近藤勝NaITO中部営業部長が登壇し「日頃より、中部タンガロイ特約店会の皆さま方におかれましてはタンガロイ製品の拡販にご尽力いただきまして厚く御礼申し上げます。梅雨も明け、いよいよ夏本番となりました。今年の夏は過去に例を見ないほどの猛暑になると言われております。皆さまも、体調管理にはくれぐれもお気をつけください」と挨拶し、乾杯の音頭をとった。
 参加者は、冷えた飲み物や美味しい食事を堪能しながら各テーブルを巡って挨拶を交わし、ビンゴゲームやじゃんけん大会の結果に一喜一憂していた。
 宴もたけなわとなったところで加藤久佳井高営業副本部長が登壇。「今日は若い方に多く集まっていただいて、ビンゴゲームやじゃんけん大会では楽しんでいただけたことと思います。これからいよいよ夏本番となり、暑い季節がやってまいります。今日ここで活力を付けていただいたと思いますので、これから、タンガロイさまを我々代理店もしっかりサポートして、売上をアップさせていきたいと思います。皆さまのお力をぜひお貸しください」と挨拶。加藤氏が音頭を取り、一丁締めで散会となった。
     ◇
 和田タンガロイ中部支店長は挨拶のなかで同社の近況を語っていた。同社は、2010年~2023年まで14年連続で新製品発売件数第1位を達成し続けており、2024年もその座を明け渡すことは無いと思われる。この記録を更新し続けるため昨今では、同社内で〝BCP/増産/自動化計画〟を進めているようで、同社いわき工場を中心に生産体制の効率化、生産力の向上を図っているようだ。
 また、同社はSNSでの情報発信にも注力しており、その総フォロワー数は60万人に迫る勢いだ。これだけではない。同社では毎年プロモーションを展開し新製品等の拡販につなげているが、本紙発行日現在では、『Let’s TRY!2024TungMeisterプロモーション』『新規ツーリングプロモーション』を、いずれも12月27日まで開催中だ。興味深いのが、同社が金型産業へ注力している点だ。2023年8月に型技術協会へ参加した同社は、元型技術協会会長とアドバイザー契約を交わしている。
 野球部が天皇杯出場を決めたタンガロイには、各方面から熱い視線が注がれている。

タンガロイ ヘッド交換式エンドミル
『TungMeister』
面取り用ヘッドに「AH715」材種拡充


 タンガロイ(社長=木下聡氏、本社=福島県いわき市)は、ヘッド交換式エンドミル『TungMeister』(タング・マイスター)の面取り加工用ヘッドに「AH715」材種を拡充し、2024年7月29日より全国で発売を開始した。
 『TungMeister』は、スクエア型から、面取り型、Tスロット型などの多様なヘッド形状と豊富なシャンクラインアップとの組合せであらゆる加工に対応する画期的なヘッド交換式エンドミルである。また、工具交換時間も従来のソリッドエンドミルの10分の1程度に短縮でき、機械のダウンタイムを大幅に削減することが可能となっている。
 今回、同社は『TungMeister』シリーズの面取り加工用VCP形とVCW形ヘッドに「AH715」材種を拡充した(写真)。VCP形は使い勝手の良い汎用的な面取りヘッドで、今回は工具径φ20ミリで面取り角30度、45度、60度の3種類のヘッドを拡充。また、VCW形は、独自の切れ刃形状で貫通穴等の裏面取り加工が可能なユニークな面取りヘッドとなっている。
「AH715」材種は積層構造のPVDコーティング膜と、耐摩耗性と耐欠損性のバランスに優れた専用超硬母材の組み合わせから成る。特に耐摩耗性に優れていることから、高速加工においても安定した長寿命が期待できるという。この「AH715」材種の拡充によって幅広い業種の部品での面取り加工において高速高能率加工が可能となり、多くの現場で生産性向上に貢献してくれることだろう。
 同社では、初年度の販売実績を3・3百万円と見込んでいる。本製品に関する価格等の詳細は、全国の同社各営業所まで問い合わせを。

カーボンニュートラルへの取り組みを紹介
名古屋で「オリオンフェア2024」
オリオン機械 9月18日(水)・19日(木)に開催


 オリオン機械(社長=太田哲郎氏、本社=長野県須坂市)は、9月18日(水)・19日(木)の2日間、名古屋市千種区の吹上ホール第1ファッション展示場にて「オリオンフェア2024 in NAGOYA」を開催する。プライベートショーの開催は約10年ぶり。
 今回は「カーボンニュートラルの実現―かがやく未来に向けて―』をテーマに、カーボンニュートラルの実現を見据えた省エネ高効率、環境配慮技術をはじめ、ICT、コネクトを含めた同社の取り組みを紹介する。
 「省エネ・ソリューションゾーン」では、より使いやすく、更なる省エネを追求した新製品を紹介。「ドライゾーン」では成長産業における乾燥・低湿・除湿ニーズへの対応、「ノンフロンゾーン」では環境負荷低減と冷媒管理工数低減、「コネクトゾーン」ではラインストップのリスク低減と設備管理の省力化、「コラボゾーン」では微細加工のポイントとブローエアーの省エネ化、「新技術ゾーン」では新事業・新領域に向けた展示を行う。


コラボセミナー
も同時開催


 会期中はセミナーを開催する。18日午前はDCインバータチラー、精密空調機・年間除湿型外調機、インバータ真空ポンプなどに関する「設備設計者・エンジニア向けセミナー」を、午後からは「省エネ製品進化のポイント」をテーマに行う。19日は機械・工具メーカーなどから講師を迎えてコラボセミナーを開催。午前は「微細加工におけるポイント」(講師=碌々スマートテクノロジー、日進工具、オーエスジー、オリオン機械)、午後は「ブローエアーの省エネ化」(講師=コガネイ、SDG、オリオン機械)をテーマに実施する(定員各50名、要事前登録)。
 川本直伸名古屋営業所長は「今回は新製品発表会に代えての開催。東海北陸ブロックの代理店、ユーザーを対象に、800人の来場を目指したい」と意気込みを語っている。
 同展示会の開催時間は、午前10時~午後5時(19日は午後3時まで)。来場には事前登録が必要となっている。
=主な展示機=
 【省エネ・ソリューションゾーン】〈空調〉設備用省エネ精密空調機、〈チラー〉エコハイブリッドチラー▽DCインバータチラーCシリーズ、〈空圧〉ヘルツフリードライヤー▽ドレンマスターNEO▽ドレントラップ噴きっぱなし警報ユニット、〈真空〉新型2段真空ポンプ▽スタンドブロワー+エアーナイフ実演装置
 【コネクトゾーン】DCインバータチラーCシリーズ+フロン排出抑制法点検支援・機器管理サービス▽オイルフリー真空ポンプ+クラウドサービス
 【ドライゾーン】ドライチャンバー▽冷媒レヒート型外気処理空調機▽大風量型ヒートレスエアードライヤー▽露点モニタ(参考出品)▽ノンフロン天吊除湿機
 【ノンフロンゾーン】ノンフロンインバータチラー▽ノンフロンエアードライヤー▽ノンフロン精密空調機
 【新技術ゾーン】廃熱回収ヒートポンプ▽小型水素発生装置

高硬度鋼旋削加工用CBN材種
「MB8210」「MB8220」新発売
三菱マテリアル加工事業カンパニー


 三菱マテリアル 加工事業カンパニー(カンパニープレジデント=小原和生氏、所在地=東京都千代田区丸の内)は、高硬度鋼旋削加工用CBN材種「MB8210」「MB8220」(写真)を2024年7月16日より全国で販売スタートした。
 高硬度鋼の旋削加工では、加工中にクレータ摩耗が進行しやすく、衝撃でチッピングや欠損が発生することがある。今回販売をスタートした高硬度鋼旋削加工用CBN材種「MB8210」「MB8220」には耐熱バインダーが採用されており、耐熱性が向上したことでクレータ摩耗の進行が抑制されるという。さらに、超微粒バインダーによりクラックの進展が抑制され、安定した加工で長寿命を実現することが可能となった。
 高硬度鋼旋削加工用CBN材種「MB8210」「MB8220」の主な特長を以下にまとめる。
 ●CBN基材に“超微粒バインダー”と微粒cBNを分散することでクラックの進展を抑制し切削時の突発欠損を防止。
 ●耐熱バインダーの採用によりクレータ摩耗の進行を軽減し、チッピングや欠損を抑制。
 ●「MB8210」43アイテム、「MB8220」37アイテム、トータル80アイテムの販売がスタート。
 ●販売開始は2024年7月16日より。
 標準価格(代表型番)は以下の通りだ。
 ●NP-CCGW03S102FS2 MB8210▽4810円(税込5291円)
 ●NP-TPGB110308FS3 MB8210▽7610円(税込8371円)
 ●NP-CNGA120408GA2 MB8220▽5310円(税込5841円)
 ●NP-TNGA160404GA3 MB8220▽6890円(税込7579円)
 その他、本製品に関して詳しくは、同社ホームページ(https://www.mmc-carbide.com/jp)へアクセスを。

第2897・2898号 PDFはこちら

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